Ready-made and inframince
Concept:
"エレガントなダダイズム:マルセル・デュシャンの奇想と革新"
今季、私たちは20世紀初頭の芸術家マルセル・デュシャンの精神と
彼のダダイズム運動から着想を得ています。
過去2シーズンにわたり、私たちはブランドの方向性をよりエレガントでモードなものにしてきました。
ロンドンでのデザイナーのファッションとアートの経験を融合させ、ブリティッシュな要素や歴史的な時代のインスピレーションを現代的なアティチュードで解釈してきました。
今シーズンは、この洗練されたスタイルに反骨精神を融合させ
既成の考え方を新しい観点の下に置き、新しい思考を作りだすことに挑戦しています。
このアプローチを探求する中で、マルセル・デュシャンの本に出会い
彼の革新的なアート、コンセプトに触発されました。
デュシャンは芸術の概念を覆し、想像力と革新を通じて新たな視点を提案しました。
このコレクションでは、彼の実験的なアプローチとアート作品、コンセプトからインスピレーションを受け、独創的なデザインと斬新なテクスチャーを組み合わせたエレガントなスタイルを追求します。
反芸術の美学:
マルセル・デュシャンは既存の美学に挑戦し、芸術とは何かを再評価しました。
このコレクションでは、彼のダダイズムの精神に沿って、伝統的な美の概念をベースに
異なる視点からファッションを解釈します。
既視感に対する未視感を意図的に取り入れたデザインや、
本来あるべきカタチに対して異なる要素を組み合わせたスタイルで、反芸術の美学を表現します。
デュシャンの「Ready-made」というシリーズは、芸術において画期的な試みでした。このコレクションでは、既製品や日常的なアイテムを芸術作品として再構築し、新たなコンテクストを与えました。
このコンセプトは、伝統的な芸術的スキルに依存することなく、物品の意味や機能を変容させ
新たな視点やアイデアを引き出すことで、芸術の領域を拡張しました。
このコレクションでは、デュシャンのアプローチにインスパイアされ、新たなファッションの可能性を模索しています。
またデュシャンが提唱した「inframince」という概念も、私たちのコレクションに影響を与えました。
直訳すると「極微」や「超微細」という意味です。しかし、彼の用いたinframinceは、単純な物理的な微細さや細かさを指すだけでなく、感覚的な領域や経験の奥深さを表現するために使われました。
具体的に「inframinceは」、我々が普段感じることのできない、目に見えない微妙な差異や微細なニュアンスの“ズレ”を指します。それは、例えば、同じ温度や触感でも微妙に異なる感じ方や、わずかな音の変化、香りの微妙な違いなど、日常的な経験では捉えにくい微細な感覚や存在のレベルを指す言葉です。
この概念は、デュシャンの芸術的な考え方や彼が追求した現実の再構築に関連しています。
今季のコレクションは「Ready-made」そして「inframince」のコンセプトに基づいて、
既製服と現代ファッションの新たな視点を提供しています。
通常は見落とされがちな、微細な差異や感覚の領域にアクセスし
それを通じて私たちの感覚や認識を豊かにし
現代女性の個性と表現を更に引き出せることを願っています。